ロシア民族衣装のお店キリコシナ
ロシア民族衣装のお店 キリコシナ

ロシアファッションヒストリー14 セルゲイコレクション2

未分類
20世紀前半のネクラソフ・コサックの衣装。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」
この記事は約7分で読めます。

前回は19,20世紀における最大のロシア民族衣装のコレクションである、セルゲイコレクションからサラファンなどロシアの衣装を紹介しました。今回はその続きです。

ロシアファッションヒストリー13 セルゲイコレクション

では早速画像を見ていきましょう。

お祝いの衣装、20世紀初頭、コストロマ地方。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから20世紀初頭」

これはお祝いの衣装で、綿のブラウスです。広い袖口は、背中の後ろにしまい込まれた細いコードで引っ張られフリル状に形成されています。赤いサラファンは直線的で、同系色のエプロンが結ばれています。ベルトは多色の縞模様です。女性の頭飾りが特徴的で2つの被り物の複合構造です。ロシアでは昔「赤」という言葉も「美しい」という意味だったので、民族衣装では常に赤い色が使われていますね。

 

お祝いの衣装、19世紀後半、クルスク地域。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

クルスク地方のブラウスは刺繍された赤いダイヤモンド型の肩の装飾が特徴的です。黒いサラファンはウール製です。ベルベットのストリップとギザギザのエッジを持つ黄金の亜鉛めっきがサラファンに縫い付けられています。エプロンは赤いウールのベール状生地で作られ、花が刺繍されています。頭の飾りの3色リボンもこの地域の特徴です。

 

お祝いの衣装、19世紀後半、リペツク地域。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

青いシルクで作られたジャケットは、その襟とすそが白いレースで飾られています。ジャケットの下には、赤いスカートがはかれ、その裾に金のフリンジが付いています。頭と肩は、銀黄色の糸で作られた花柄のシルクのショールで覆われています。とてもシックですね。スカートの幅を細くしたら今でもイケそうな豪華さです。リペツク地方では、サテンのヘッドスカーフは未婚の女の子だけが着用していました。それらは太陽の下で熱のように燃えるので、「熱」と呼ばれたそうです。

 

お祝いの衣装、11世紀半ば、ニジニ・ノヴゴロド地方。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

上の画像のブラウスは薄い淡い黄色の工場生産で作られた生地でできています。太めの袖は、裾口は狭くなっていて、見にくいですが袖の上には、刺繍の花柄が施された透明なシルク生地が縫い付けられています。サラファンは、緻密で非常に質の高いシルクの生地で作られています。女性のスカーフの上に、やはりシルクの三角形の帽子、その正面とコーナーは、花柄の金の縫製で飾られています。首にはガラスのビーズで刺繍された赤いシルクの糸で作られたネックレスが飾られています。耳飾りは金属ベースのビーズと貴石から作られています。これらの高価な装飾類は代々相続されたそうです。

 

花嫁の衣装、19世紀後半、オルロフ地方。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

上の画像は結婚式のものですが、装飾豊かなブラウスにはシルクリボンと白いレースのフリルとがついています。全体的にダイヤモンドの形や幾何学模様が見られ、肩から二の腕にかけての装飾が特徴ですね。頭飾りは40ものアイテムからできており、金の刺繍が見事です。トルコ風に鳥の羽が裏側に取り付けられています。オルロフの農民は、他の人よりも多くの種類で服や髪飾りを飾ることを競っていたそうです。

 

お祝いの衣装、19世紀後半、ノヴゴロド地方。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

ブラウスは朱色、スカートは黒で合わせています。サラファンには控えめな幾何学的な装飾が施され、緋色のリボンと白いレースが飾られています。エプロンは白でいたってシンプルです。頭飾りは金の縫製で、後頭部には、赤い絹織物で作られたリボンがついています。

 

女性の衣装、19世紀後半から20世紀初頭、ペンザ地域。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

ブラウスはキャンバス生地で、赤い幾何学模様の刺繍がほどこされています。また巻きスカートの青いパネヴァをはいており、すそに花柄の装飾がされています。ブラウスの下には、多色ウールの細いベルトがのぞいています。

 

お祝いの衣装、19世紀後半から20世紀初頭、リャザン地域。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

リャザンのお祝いの衣装です。

 

お祝いの衣装、11世紀後半、スモレンスク地域。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

これはセルゲイコレクションのセルゲイ氏の祖母の衣装だそうです。セルゲイコレクションの初期のものだそうで、なのでこれだけ11世紀のデザインと紹介されているんですね。無漂白のリネンに対して花柄の刺繍が施されています。これを見ると、11世紀から19世紀への変遷ってあまり見られませんね。なにしろ刺繍が豪華です。

 

20世紀前半のネクラソフ・コサックの衣装。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

コサックのブラウスはシルクで、袖は前腕で狭くなっています。多色のサテンのリボンが、肩付近に縫い付けられています。シャツの上には、ベストのような上着を羽織ります。シルク生地のエプロンは、レースが装飾され、緑のシルク生地が裾に縫い付けられています。頭の上には花柄のスカーフがまかれていますが、この巻き方はおしゃれかも。

 

お祝いの衣装、19世紀後半-20世紀初頭、トヴェル地域。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

ブラウスは赤い刺繍の目だつ、スリムなシルエットが特徴です。モデルさんのせいかな。装飾は全体的に花が多用されています。黒いスリムなサラファンがとてもシックです。

 

女性の衣装、19世紀後半、トゥーラ地方。「19世紀の伝統的なロシアの衣装-セルゲイコレクションから」

最後に、トゥーラ地方の衣装です。太めの袖で、袖口はすぼまっています。白と黒を基調とし、アクセントは赤い幾何学模様の刺繍です。エプロンの鳥の柄のレースに昔の人のおしゃれ心を感じます。

前回と今回ではセルゲイコレクションに集められているロシアの女性民族衣装を紹介してきました。近代のファッションを構築していくうえで、何らかのインスピレーションを与えてくれそうなコレクションだったと思います。

さらにロシアファッションの話題は続きます。ロシアファッションヒストリー16 ココシュニック2

 

参考文献およびウェブサイト(すべてロシア語です):
https://russian7.ru/post/kak-poyavilas-kosovorotka-u-russkikh/
https://vrns.ru/analytics/1394
・R.V.サハルジェフスカヤ「衣装の «歴史:古代から近代へ」
・カミンスキーN.M.「コスチュームの歴史」
・Далю(ダーリョ)「Толковый словарь живого великорусского языка」
https://www.culture.ru/

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました